こんにちは。
化学物質過敏症患者で現役看護師のAkariです。
化学物質過敏症患者さんに多い症状の一つが眼球運動の異常です。
今回はAkariも数年来悩まされた「眩しい」「目が痛い」という症状について解説します。
目の働きを知ろう
まずは目の働きを解説します。
物を見るときに、焦点を合わせたり、目にはいる光の量を調整します。
この部分をつかさどる神経が 化学物質により障害され、そのためにさまざまな症状が出現します。
神経障害を引き起こす代表的な化学物質は、【有機リン系物質】と言われていて、その中毒症状で目が痛く感じたり、眩しく感じる症状が出現すると言われています。
有機リン系物質ってなに?
皆さんは地下鉄サリン事件って知っていますか?
ここで重要なのは事件そのものではなく撒かれた物質【サリン】についてです。
サリンは有機リン系物質のなかでも有名なものです。
他にはどんなものがあるの?
中国の毒餃子事件で有名になった、ジクロルボス。
ダイアジノン、パラチオメンメチル、フェニトロチオン等あり、多くは農薬に含まれています。
「スミチオン」という50年以上使用されている有名な農薬があります。
他にも、殺虫剤スプレーやエアロゾル式・吊り下げ式の殺虫剤の成分にも含まれているのです。
体にどんな影響があるの?
化学物質過敏症というと、柔軟剤や農薬・食品添加物などが原因と思われていて、有機リン系物質は見逃されがちです。
有機リン系物質は口から摂取する以外にも、皮膚・粘膜・呼吸を通して体内に吸収されやすいという特徴があります。
有機リン系物質には「副交感神経」を刺激する特徴があります。
・神経症状 頭痛・めまい・意識障害
・呼吸器症状 喘鳴・湿性咳嗽
・消化器症状 腹痛・下痢
・循環器症状 血圧の低下・徐脈・胸部圧迫感
・排泄 失禁・頻尿
・分泌の症状 汗をかく、涙や唾液が増える
・目の症状 目の動きがおかしくなる、目がかすむ、黒目が小さくなる、黒目が大きいままになる
このように全身に症状が及び、あまりにも多種多様な症状が現れるため、何が原因かを見極めることが難しくなってしまうのです。
症状を和らげるために化学物質過敏症患者さんに気を付けてほしい事
自宅や身近にある防虫剤や殺虫剤・虫よけ剤を使用しないようにしましょう
実は殺虫剤は農薬よりも身近な原因物質です。
無臭であることも多く、コロナ禍では抗菌剤としてさまざまな物が散布されています。
自宅で数種類の殺虫剤、虫よけ剤、防虫剤を使用している人も少なくありません。
殺虫剤の種類によっては症状は数時間から数日、有機リン系では数週間続くことがあります。
殺虫剤、虫よけ剤、防虫剤を捨てるときは、可能であれば家族の人に手伝ってもらいましょう
有機リン系物質や殺虫剤の成分は、呼吸や目からも体の中に取り込まれます。
どうしても自分で片付けなければならない時は、マスクを装着し、手袋をつけ手で触れることが内容に注意しましょう。
袋に入れて捨てるようにし、口を縛る際には、中の空気を抜かないようにしましょう。
自宅で使用する農薬や花・植木に噴霧する薬剤の使用をやめましょう
可能であれば農薬を使用していない、食品を摂取するようにしましょう
自宅での有機リン系薬剤(殺虫剤)の使用が多く濃度が高い場合は
原因物質を除去することで数日から数週間で症状が緩和されます。
Akariの実体験を通して伝えたいこと
私が初めて主治医を受診した時に認められた、有機リン系症状を太字にしてみます。
・神経症状 頭痛・めまい・意識障害
・呼吸器症状 喘鳴・湿性咳嗽
・消化器症状 腹痛・下痢
・循環器症状 血圧の低下・徐脈・胸部圧迫感
・排泄 失禁・頻尿
・分泌の症状 汗をかく、涙や唾液が増える
・目の症状 目の動きがおかしくなる、目がかすむ、黒目が小さくなる、黒目が大きいままになる
特に、30分おきにトイレに行きたくなる頻尿と黒目が大きいままになる症状、涙や唾液が増える症状は本当に苦痛でした。
はじめに主治医の元を訪れたときの瞳孔の大きさは4㎜、通常の人の倍はありました。
下の写真の瞳孔が開いている時よりも、大きな瞳孔だったのです。
一般的には暗い時に瞳孔は開き、明るい時に小さくなります。
有機リン系物質の暴露が多いと、この瞳孔の動きが悪くなるので、太陽を眩しく感じやすくなります。
色には波長がありますので、蛍光色や原色が目に痛いと感じることが多くなるのです。
Akariは初回の受診で重度の有機リン系薬剤の中毒を指摘されましたので、すぐに、ゴキブリ用の防虫剤2種類、吊り下げ式虫よけ剤2個、網戸に貼るタイプ3個、床下や物置に入れるタイプの虫よけ10個以上、洋服の虫よけ剤などを、彼に頼んで捨ててもらいました。
捨てる際に自分の身の回りでこんなに有機リン系物質があり、日常的に暴露されていたことに怖さを感じました。
有機リン系薬剤の怖いところ
有機リン系薬剤は臭いもしませんし、どこにあるかがわかりません。
薬剤の特殊性から、数時間から数週間と症状出現から消失まで時間がかかるのが特徴です。
そのため、いつからその症状がなくなったのか、正確な日時は不明なのですが、
頻尿の症状は数日目から、目の症状は半年以上たってやっと症状がなくなりました。
有機リン系物質の暴露により副交感神経が活発になると、香害やアレルギーの症状が強く出やすくなります。
もし、香害やアレルギーの原因物質を避けても症状がよくならない場合には、有機リン系物質を避けることが化学物質過敏症の症状の緩和につながるかもしれません。
化学物質過敏症患者さんの原因物質は複数あり、複雑に関連しあっています。
少しずつでも原因物質が見つかり、症状が緩和されることを願っています