化学物質過敏症と季節~冬から春~

症状
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Akari
Akari

こんにちは。

化学物質過敏症で現役看護師のAkariです。

暖かくなってきて、体調が悪くなっている方も多いのではないでしょうか?

実は冬から夏にかけて、体調をくずしやすかったり

季節の変わり目に体調を崩しやすい化学物質過敏症患者さんは多いのです。

では、なぜこういった変化が起きるのでしょうか?

いくつかの原因がありますが、見落とされがちなことが1つあります。

今回は化学物質過敏症と季節の関係

冬から春に起きやすいことについて、

わかりやすく解説していきます。

あたたかくなるとおきること~環境~

あたたかくなると当たり前ですが温度が上昇します。

化学物質はあたたかくなると「揮発」と呼ばれる

空気中に化学物質をたくさん放出するような状態がおきます。

揮発というと水などの液体が蒸発してなくなるようなイメージを持たれるかもしれませんね。

一般的には液体につかわれることが多い揮発という言葉ですが、固体にも起きる現象です。

プラスチックや印刷物のインク、化粧品やいろいろなにおい成分など

化学物質過敏症患者さんが反応しやすいものは

温度があがると揮発しやすくなり環境に広がっていくのです。

冬よりも環境中の化学物質の濃度が上昇しやすくなるために、

あたたかくなることで調子が悪くなってしまうのです。

あたたかくなるとおきること~ヒト~

では、温度変化以外の環境要因はないのでしょうか?

次は「ヒト」について着目していきます。


あたたかくなると、衣替えをしますよね。

化学物質過敏症患者でない人は、服の保存には「防虫剤」を使用しています。

さらには、保管していた衣服は改めて洗濯をせず、そのまま着用する人がほとんどです。

防虫剤には「数か月間虫を殺す」ことができる成分が含まれています。

市販されている防虫剤の成分には、

ナフタリン、パラジクロロベンゼン(パラジクロルベンゼン)、

無臭性のピレスロイド系薬剤(エンペントリン)などの種類があります。

とくにパラジクロロベンゼンやピレスロイド系殺虫剤には、
神経細胞を常に興奮させアレルギー反応を悪化させる作用を持っています。

そのため今までは症状がでなかったごく少量の化学物質でも反応が出るようになり、
自覚症状が酷くなっていく可能性があるのです。

さらには防虫効果を高めるために、箱や袋を密封して保管している人がほとんどです。


そのため衣替え直後の衣類には、化学物質過敏症患者の症状を
簡単に悪くできるくらいの量の化学物質が含まれている可能性があります。

それは、使用方法や使用量を適切に守っていても起きてしまいます。

身の回りにいる人、エレベーターで一緒になった人…

その人たちは悪気はなくても防虫成分を体温でじわじわと揮発させ、
化学物質過敏症患者を苦しめているのです。

柔軟剤や抗菌洗剤の多くはにおいや刺激感があるので、
わかりやすく避けることが可能かもしれません。

しかし、最近主流となっている防虫成分はにおいがしないことも多く、避けきれないのです。

あたたかくなるとおきること~あなたができること~

では、揮発する化学物質に対して、あなたができることがないか考えてみましょう。

揮発する化学物質の使用を避ける

まずは、ご自身が防虫剤を使用しているのであれば、使用をやめたほうがよいです。

それは洋服だけでなく、ダニよけ、ゴキブリよけ、蚊を退治するなど…その対象は問いません。

置き型・つるし型・加熱式など種類に限らずすべての使用を避けるべきです。

特に夏が近くなると、蚊などを避けるためにつるすタイプの虫よけ剤を使っている方もいらっしゃいますよね。

新しいものを使用する→揮発が増える→体調が悪くなるという無限ループに陥ってしまうのです。

もし、今使用しているのであれば、可能な限り使用しないでくださいね。

取り除くときも、使い捨て手袋をして触るようにし袋に密封して、捨ててください。

その後はできれば環境面を拭き掃除し換気をするとよいでしょう。

拭き掃除で体調が悪くなる人もいますので、決して無理はしないでくださいね。

さらに、洋服などは必ず洗ってから使用しましょう。

防虫剤使っていれば絶対に。

できれば数回洗ってください。

防虫剤を使っていない人も、必ず洗ってから着用しましょう。

TVOCやほこりなどが付着している可能性があります。

原因になりそうな物質は可能な範囲でとりのぞいておくと、安心できますよね。

周りからの暴露を減らす

自分自身が気をつけていても、どうしても周りの環境因子が減らせないこともありますよね。

「防虫剤使わないでください」って、やっぱり言いにくい。

そんな時にできることは「換気」です。

可能な範囲で、こまめに換気をしておくことをおすすめします。

外の空気も柔軟剤や香料臭がするかもしれません。

でも、室内にも化学物質はたくさん。

開けても地獄、閉めても地獄…そんな化学物質過敏症患者さんもいるでしょう。

揮発性の化学物質濃度を下げるには空気清浄機では不十分です。

フィルターに吸着されたものは、また、いつか揮発し拡散します。

可能な範囲で換気をし、外に放出していきましょう。

あたたかくなるとおきること~私の経験~

ご多聞にもれず、私自身もあたたかくなり体調が悪化しています。

食事のメニューも使用する調味料や野菜もすべて冬とおなじ。

外食もせず、加工食品も添加物も一切食べていません。

当たり前のように、合成洗剤も柔軟剤も使用していません。

ワクチンも打っていませんし、薬も点滴もアレルギーがあるので使用できないのです。

どうして悪化するの?

最近はその気持ちが強く、原因を追及しようと必死でした。

その時思い出したのは、主治医の

「あたたかくなると調子が悪くなるから、その頃にお会いしましょう」  という言葉。

温度上昇で揮発が増えること、衣替えなどで

アレルギーや化学物質過敏症が悪化する可能性があることが思い当たったのです。

私が化学物質過敏症の診断を受けたときに、

主治医の生活指導のうちの1つは「防虫剤・虫よけを使用しない」でした。

こういったものは私は即時型アレルギーがおきず、
遅延型でいろいろな反応が出ていましたが、その反応には気づいていませんでした。

でも、言われるから環境改善しなくちゃくらいの軽い気持ちで、虫よけ剤を除去することに。

しかし、除去する際に素手で持ち、
虫よけ剤を封入した袋の空気を抜こうとした時に立ちくらみがし、
「これはダメな成分だ」とやっと実感することができたのです。

今できること

いまは自宅には防虫剤などは一切置いていません。

けれど、職場や通勤電車の中の暴露は避けきれません。

だから、「換気」「換気」

コロナ対策という一面もありますが、

化学物質過敏症患者にとって新鮮な綺麗な空気はどんな薬よりも必要ですよね。

香害もかなりしんどいですが

においのしない化学物質にも注意して行きましょう。

まとめ

季節の変わり目にはいろいろなことが原因で体調を崩してしまいます。

揮発により化学物質が増えてしまうのは、どうしても避けられませんが

それでも、少しの努力で暴露を減らすことは可能です。

少しずつ気を付けながら、体調の波をゆるやかにして、毎日を過ごしていきたいですね。

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